「京都の生協」No.53 2004年8月発行 この号の目次・表紙

消費者政策の充実・強化をめざすとりくみについて


消費者保護基本法が抜本改正されました
 5月26日(水)、第159回通常国会で、「消費者基本法(改正消費者保護基本法)」が議員立法により、全会一致で成立しました。
 この法律は、近年消費者トラブルが増えつづけている問題をふまえ、消費者と事業者の構造的な力の格差を是正し、国民のくらしの安全・安心を実現するために抜本改正が求められていたものです。
 新しく成立した「消費者基本法」には、この間、全国消費者団体連絡会が提言してきた消費者権利の法目的や基本理念への明記、行政・事業者・消費者それぞれの責務と役割の見直し、消費者政策の基本計画に関する規定の新設、苦情処理・紛争解決の促進、国の推進体制の強化、国民生活センターの役割などの諸点について、消費者の主張が大きく反映された内容となっており、私たちは安心して暮らせる社会に向けての一歩を踏み出すことができました。
 次のステップとして、今後は消費者権利の実効性を確保するために、消費者基本計画の策定や、消費者団体訴訟制度(団体訴権)の制定をすすめることが必要であり、基本計画には消費者基本法の趣旨に沿って消費者関連法制の見直しを位置づけていくことが重要です。
 さらに、国や自治体の消費者問題に関する政策推進窓口を設置するとともに、それらをつなぐ横断的な行政機関が求められています。あわせて地方レベルでの消費者行政の見直しも必要です。
 制定された「消費者基本法」の趣旨に沿って、地方自治体の条例改正、消費者行政の充実強化の活動をすすめていきましょう。

公益通報者保護法が成立しました
 今国会では、6月14日、新たに「公益通報者保護法」が成立しました。
 これは、内部関係者からの通報を契機に発覚した企業不祥事が続発するなかで、公益のための通報を行ったことを理由に労働者が不利益な取り扱いを受けないように、公益通報者の保護を目的に制定されたものです。
 この法案作成や国会審議の過程において、日本生協連では、
  1. 公正な運営や事業者のコンプライアンス経営を促進し、社会的利益を擁護する見地から、公益通報者を保護する制度の導入は不可欠であること。
  2. 通報の対象について、全ての法令違反行為等を対象とする包括的な制度とすること。
  3. 外部通報要件について、要件を厳しくしすぎることなく、通報を萎縮させないようにすること。
  4. 本制度の対象とならない内部告発については、引き続き労働法制上の法理が適用される旨を明確にすること。
などの主張を行ってきました。
 このたび成立した「公益通報者保護法」には、残念ながら通報の対象や外部通報要件等に関する主張は反映されませんでしたが、国会で議論された論点が、衆参両院の内閣委員会において附帯決議としてそれぞれ全会一致で採択されました。
 法案の検討過程では「密告奨励制度」として反対する声も強く出されましたが、そうしたなかで「公益通報者保護」という概念を法定したことに意義があると考えます。
 今後は、法律の運用を通じて問題点等を明らかにし、附帯決議をふまえながら改善を図っていくことが必要であると考えます。


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京都府生活協同組合連合会連合会