「京都の生協」No.66 2008年8月発行 この号の目次・表紙


 2008年度 国際協同組合デー 第19回 京都集会開催

「環境・資源課題と京都の農林水産業の未来
 〜協同組合の役割を考える〜」をテーマに


国際協同組合デー・第19回京都集会はキャンパスプラザで開催されました。
開会あいさつをする京都府生活協同組合連合会・小林智子会長理事

 7月2日(水)、キャンパスプラザ京都を会場に、「2008年度国際協同組合デー・第19回京都集会」が開催され、JA・JF・森連・生協から130人が参加しました。
 これは、京都の協同組合運動の発展を願い、毎年開催されているもので、主催は京都府協同組合連絡協議会(構成/JA京都中央会・JF京都府漁業協同組合連合会・京都府森林組合連合会・京都府生活協同組合連合会)。
 ことしは、「環境・資源課題と京都の農林水産業の未来〜協同組合の役割を考える〜」をテーマに、研究最前線からの3つの報告と、それぞれの協同組合から元気な若い担い手たちの活動報告がおこなわれました。


 第19回京都集会は、京都府漁業協同組合連合会指導課 濱中貴志氏の司会で開会、京都府生活協同組合連合会・小林智子会長理事より開会のあいさつがありました。
 つづいて、京都府農林水産関係研究機関に勤務されている3人の研究者から「研究最前線からの報告」をいただきました。
 報告は、「温暖化に対応したおいしい米づくり」「竹林における牛の放牧」「温暖化で京都の海と魚はどう変わったか」のテーマで、参加者から「それぞれの分野での熱心な研究を知る機会がもててよかった」「わかりやすく工夫された内容で興味深く聞くことができた」「農林水産すべてにおいて地球温暖化防止への取り組みが急務だと実感した」などの声がよせられました。
 各連からは、「特産の冨有柿の普及をめざして」「せんべいづくりに取り組んで」「利用間伐に取り組んで」「餃子事件から見えたわたしの役割」の内容で活動報告がありました。
 参加者から、「仕事にたいして夢と情熱をもって、取り組んでおられることに感動した。すばらしいことだと思う」「現場の若いみなさんの生の意見を実際に聞けたのはほんとうに意義深い。熱い思いが感じられました」「知恵を出し合い、工夫をこらしてがんばっておられる若い担い手の方がたの話はとても力強くてよかった」などの感想がよせられました。
 さいごに、JA京都中央会・中川泰宏会長より閉会のあいさつがありました。


JA京都中央会・中川泰宏会長が閉会のあいさつ

研究最前線からの報告

京都府丹後農業研究所
主任研究員

大橋 善之 氏

温暖化に対応したおいしい米作り

 丹後はコシヒカリの主産地で、全国食味ランキングでは2007年に西日本で唯一、最高級評価の特Aを獲得した。しかし、近年はお米に変化が出てきている。「白未熟粒」というデンプン集積が不良なお米の割合がふえ、正常なお米がとれにくくなってきている。そこで、地球温暖化による今日の気象の変化が「白未熟粒」の発生に大きくかかわっていることをデータからしめし、田植え時期を遅らせ、米が実る時期の高温を避け、苗を植える間隔を広げた結果、「白未熟粒」の発生がおさえられた。


京都府林業試験場
主任研究員

境 米造 氏

竹林におけるウシの放牧

 放置竹林や荒廃農地が拡大し、野生動物が里に出没するようになってきた。
 そこで、牛の放牧により獣害の軽減ができること(農業)、放牧牛はタケノコを食べること(畜産)、竹は3年間伐りつづけると発生しなくなること(林業)から、共同研究として京都府綾部市に試験地を設定し、牛を放牧したところ、牛がよろこんでタケノコを食べ、明らかに竹の発生がおさえられた。ひきつづきタケノコの発生量や竹現存量の推移を比較することで、牛放牧による竹林の拡大防止効果の検証をしていきたい。


京都府立海洋センター
海洋調査部主任研究員

上野 陽一郎 氏

温暖化で京都の海と魚はどう変わったか

 最近、京都府で漁獲される魚に変化が起こっている。寒ブリが獲れなくなり、南方系のいわゆる熱帯の魚があらわれてきている。テレビのニュースでも報道されているエチゼンクラゲやハリセンボンなどの厄介者の出現も常態化している。
 これらは地球温暖化によって海が高温化したことによるものであると考えられる。
 対策として、海藻が二酸化炭素を吸収・固定することから、藻場造成の技術開発や、海藻の種苗生産、食用海藻の養殖など、「海の森づくり」に取り組んでいる。


各連からの活動報告
JA、JF、森林組合、生協より活動報告がされました。
特産の冨有柿の普及をめざして



JA京都市青壮年部大枝支部
  松 木 孝 史 さん
せんべいづくりに取り組んで



間人底曳網漁業女性の会
佐々木 直 美 さん
吉 田 温 子 さ
利用間伐に取り組んで



京都市森林組合営業企画係長
  西 田 顕 識 さん
餃子事件から見えたわたしの役割



京都生活協同組合洛南支部
西     樹 さん


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