「京都の生協」No.68 増ページ 2009年4月発行 この号の目次・表紙

野田聖子・消費者行政推進担当大臣を訪問、懇談しました

―京都消費者契約ネットワーク、コンシューマーズ京都、京都府生協連の三者で国会要請―


中央:野田聖子・消費者行政推進担当大臣
後列左から:京都府生活協同組合連合会・橋薫事務局次長、同・小林智子会長理事、いざわ京子衆議院議員、京都消費者契約ネットワーク・森順美理事、コンシューマーズ京都・高田艶子副理事長、京都府生活協同組合連合会・坂本茂事務局長、日本生活協同組合連合会渉外広報本部・佐藤孝一渉外担当部長
 


  4月2日(木)、適格消費者団体・NPO法人京都消費者契約ネットワーク、NPO法人コンシューマーズ京都、京都府生活協同組合連合会の三組織が、野田聖子・消費者行政推進担当大臣を訪問し、今国会に上程されている消費者庁設置法案などについての要望書を提出、懇談しました。

 当日、要請をおこなったのは、京都消費者契約ネットワーク・森順美理事、コンシューマーズ京都・高田艶子副理事長、京都府生活協同組合連合会・小林智子会長理事、同・坂本茂事務局長、橋薫事務局次長の5人で、日本生活協同組合連合会渉外広報本部・佐藤孝一渉外担当部長が同行しました。
左:野田聖子・消費者行政推進担当大臣
右:京都消費者契約ネットワーク・森順美理事


 3月17日から衆議院に設置された「消費者問題に関する特別委員会」での審議がはじまり、4月2日に地元選出のいざわ京子衆議院議員(自由民主党)、泉ケンタ衆議院議員(民主党)が質問に立ちました。委員会審議の合間をぬって、いざわ議員、泉議員に要請、意見交換をおこないました。





「先送りにならないよう、よりよい法案として成立させてほしい」


  京都の三消費者組織代表は、委員会終了後、内閣府におもむき、野田聖子・消費者行政推進担当大臣に面会、懇談しました。
野田大臣には、

(1)消費者行政一元化構想等については「先送り」にならないよう、与野党があゆみよって、よりよい法案として成立させてほしいこと、

(2)地方消費者行政活性化事業については実情にあった運用ができるようにしてほしいこと、

(3)各自治体の消費生活相談員についてその待遇の改善や人員の拡充をのぞむこと、

(4) 適格消費者団体はじめ消費者団体にたいしての財政面をはじめとする支援をお願いしたいこと、

(5)損害賠償等消費者被害救済制度の充実が必要なこと、などを要請しました。


右:野田聖子・消費者行政推進担当大臣
左から:コンシューマーズ京都・高田艶子副理事長、京都府生活協同組合連合会・小林智子会長理事
消費者行政を大きく転換し、新しい時代をつくろう

 野田大臣は、要請内容について一つひとつていねいにコメントされ、「これまでの施策展開においては、『消費者』という概念の認識が十分ではなかった。今回提出している法案は、日本の消費者行政を大きく転換し、新しい時代をつくるものと位置づけている。みなさんからいただいた要望については全力でこたえていきたい」とのべられました。

  また京都消費者契約ネットワーク・森順美理事が消費生活相談員の仕事の実情と改善の必要性について提起したことをうけて、野田大臣は「相談員のみなさんのお仕事ぶりについては理解をしている。消費生活センターの位置づけとあわせて、相談員の待遇改善をはかりたい。みなさんといっしょにがんばっていきたい」と激励しました。野田大臣との懇談には、いざわ議員が同席しました。


ベストのタイミングでベストの方がたに要請

 今回の国会要請に同行された日本生協連渉外広報本部・佐藤孝一渉外担当部長は、京都三消費者組織の取り組みについて「ベストのタイミングで、ベストの方がたに要請、懇談することができた」とのべました。

  京都府生協連・小林智子会長理事は「委員会審議のまっただなかにもかかわらず、野田聖子現職大臣、岸田文雄・前大臣/消費者問題に関する特別委員会・与党筆頭理事はじめ、貴重なお時間をさいてくださり、消費者の要望に熱心に耳を傾けていただいた」と感謝の意を表しました。

 コンシューマーズ京都・高田艶子副理事長は「野田大臣、岸田筆頭理事とも、それぞれ30分以上にわたる懇談・意見交換の時間をとっていただいたことに、京都の消費者組織にたいする期待を感じました」とのべています。

国・地方の消費者行政の充実と
消費者団体による消費者被害救済制度の充実に向けた要望書
(一部略)

第1.地方消費者行政活性化基金の活用に向けた要望

 今般、政府は平成20年度第2次補正予算に、地方消費者行政の拡充・強化を目的とした国の財政支援策である「地方消費者行政活性化交付金」を盛り込みました。

  「活性化交付金」(3年間で150億円)は、全国の地方自治体の消費者行政予算が、この10年間で年額約55億円も減少している状況を回復させるものであり、歓迎すべきものです。

  しかし、一方で「活性化交付金」は、既定事業や相談員等の人件費に利用できないなど、使途の制約があると指摘されています。これは活性化交付金の交付要領を硬直的に解釈した結果と考えられます。

 国は「活性化交付金」による地方消費者行政活性化事業の運営については、各地方自治体がその実情にあった事業が実施できるようその自主性を尊重し、柔軟な対応を行うこと。

 国は「活性化交付金」を交付する事業を認定するにあたっては、交付要綱の「地方消費生活相談窓口の充実強化等」を図る目的を過度に限定して解釈して「地方消費生活相談窓口の充実強化」に限定することなく、消費者の権利擁護に資する総合的な地方消費者行政活性化事業に充当できるようにすること。

 国において「活性化交付金」が以下の事項に活用できることを確認していただくこと
(1)既定事業でも、これに新たに付加される取り組み、あるいは当該地方の実情においては特に重要と考えられる取り組み、先進的な取り組みへの活用。

(2)相談事業をはじめとする地方消費者行政の活性化の核となる相談員その他の人件費への充当。

(3)当該地方の重要な消費者団体への支援事業に対する活用。


 3年後の長期的な財源手当についても別枠で検討し実現すること。


第2.消費者行政の一元化をはかる消費者庁の早期創設に向けた要望

 消費者・生活者が主役となる社会を実現する国民本位の行政に大きく転換し、隙間なく消費者問題に取り組む消費者庁が設置されることをおおいに期待します。

 ただし、現在の法案では消費者庁の活動に対する監視機能が十分ではありません。また、早期に消費者事故情報を収集してこれを情報開示することは消費者事故の予防に不可欠です。

 消費者庁設置法案、消費者安全法案の審議が深められ、速やかに消費庁が設置され、消費者行政の一元化が実現すること。

 設置された消費者庁が、消費者の権利を十分に擁護する機能を発揮できるよう、上程されている法案のうち、以下の事項を検討していただくこと。

(1)消費者庁設置法案第3章にある消費者政策委員会に、委員会の独立性、委員の身分保障、勧告や調査をする権限を付与して、消費者目線で消費者庁の監視を行える機能をあたえること。

(2)消費者安全法案12条、13条に定める消費者事故等の情報に関する通知や情報開示の要件を緩和し、早期に消費者事故情報を幅広く収集してこれを情報開示できるようにすること。


第3 消費者団体による消費者被害救済制度の充実に向けた要望

 内閣総理大臣が認定した適格消費者団体に事業者の不当な行為を差し止める消費者団体訴訟制度が創設され、消費者被害の拡大防止や予防に大きな成果を上げています。

  しかしながら、差止請求だけでは、将来の被害防止に役立つものの、既に発生した消費者被害を金銭的に取り戻す救済には力になりません。泣き寝入りを強いられる被害者が多くいます。

  この救済方法の一つとして、消費者団体訴訟制度を拡大して、消費者団体が被害者を代表して損害賠償等をすることができる請求権を与える制度が有効です。

 集団的な消費者被害の救済のために、消費者団体訴訟制度を拡大して、消費者団体が被害者を代表して損害賠償等をすることができる請求権を与える制度を早期に実現すること。 (一部、略しました)



岸田文雄衆議院議員(消費者問題に関する特別委員会与党筆頭理事・前消費者行政推進担当大臣)と意見交換
左から:いざわ京子衆院議員、岸田文雄衆院議員(消費者問題に関する特別委員会与党筆頭理事  
/前・消費者行政推進担当大臣)、京都府生活協同組合連合会・小林智子会長理事、コンシューマーズ京都・高田艶子副理事長、京都消費者契約ネットワーク・森順美理事
  野田大臣との会見に先立ち、消費者問題に関する特別委員会与党筆頭理事である岸田文雄衆院議員(前・消費者行政推進担当大臣)に京都の消費者団体からの要望を伝え、意見交換しました。

  岸田議員は、委員会審議の局面とこんごの対応についての考え方をくわしくのべられ、「委員会での審議は40時間をこえ、国民のみなさんの関心をうけて、これまでに例のない真剣な議論がされている。それだけに、今国会できちんとした成果を出すことが重要だ」とむすばれました。岸田議員との意見交換には、いざわ議員が同席しました。

  京都消費者契約ネットワーク・森順美理事は消費生活相談員としての立場からも、「野田大臣、岸田議員との懇談・意見交換の場で、発言の機会をあたえてくださり、ほんとうに感謝しております。とてもすばらしい経験をさせていただきました。たいへん勉強になりました」とのべています。

  委員会での審議をうけて、与野党で法案の修正について調整がすすめられています。自民・公明の両党は、地方相談員について国から100億円程度の人件費を拠出するなどの修正案をまとめました。


泉ケンタ衆院議員(民主党)と意見交換


  4月2日、消費者問題に関する特別委員会で、京都府選出の泉ケンタ衆院議員(民主党)が質問に立ちました。

  質問に先立ち、消費者庁設置法案などにかんする審議状況と論点などについて意見交換しました。

  委員会開催中でしたが、貴重な時間をさいていだきました。意見交換後、泉議員の質問を傍聴しました。


いざわ京子衆院議員(自由民主党)質問を傍聴

 午後の委員会の冒頭に質問に立ったいざわ京子衆院議員(自由民主党)は、消費生活相談員の待遇改善の必要性などについて強調されました。

 委員会の模様については、衆議院インターネット・ビデオライブラリーで、収録された音声・映像でそのまま提供されており、誰でもかんたんに視聴できます。



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京都府生活協同組合連合会連合会