トップページ > 広報誌・広報紙 > 事務局便り〔短信〕 > 「無縁社会」から「あらたな絆(きずな)をつむぎだす社会」へ

「無縁社会」から「あらたな絆(きずな)をつむぎだす社会」へ

2011年12月27日

    111229_nishikiichiba.JPG                                        2011年の漢字は「絆」――東日大震災以降のもっとも重要なキーワードのひとつである。しかし、3.11以前、「無縁社会」という概念をもっての問題提起がひろげた波紋は小さくなかった。最初は、名前・身元がはっきりしていながら引き取り手のない遺体が年間3万2000人にのぼるという、現代版「無縁仏」(「行旅死亡者」とよぶのだという)の実態提示だった。さらに取材がすすめられるなかで、「無縁」は年齢の高い世代のみに該当する現象ではなくて、若年世代にもひろくあらわれている現象であること、「社会関係としての無縁」が現代日本のかかえる構造問題のひとつであることが深刻に認識されるようになってきた。
「地縁」「血縁」だけでなく、会社で働くことをつうじての「社縁」も、非正規雇用の拡大のなかで、かつてのような状況にはなくなっている。放送は、むろん3.11の発災にともなう社会変化を見通していたわけではないけれども、「つながりの中に役割・存在を感じて人は生きる」とのしめくくりをおこなっていた。それから間もなく、3.11が日本をおそった。その後の対応は、人びとが生き、また生きようとすることへの人間的な連帯・支援・協同が「地縁」「血縁」「社縁」をこえて、社会の根底に存在することを明確にしめした。
そのなかに、協同組合による「コープ縁」もある。いま、「無縁社会」から「あらたな絆をつむぎだす社会」へと大きな価値観の変化が起こっている。それは、「戦後」「高度成長」「失われた20年」をこえての歴史的な転換でもある。2012年は国際協同組合年――協同組合事業のイノベーションは、「コープ縁」がもつ社会的な役割についての認知を協同組合の内外で確認しあうことのなかから生まれてこよう。3.11が「無縁社会」構造の定着・拡大の契機になってはならない。
年末にあたり、あらためていまなお避難生活をよぎなくされているみなさまに心からお見舞いを申し上げるとともに、2012年が少しでも生活向上の見通しの立つ年になることを切に祈念する次第です。<写真:錦市場>(2011年12月27日、坂本茂)