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「約束」は守らなければならない

2012年04月19日

120419_nekonohanami.jpg 4月18日、衆院厚生労働委員会で障害者総合支援法案と民・自・公3党による修正案が採決された。2006年に施行された障害者自立支援法は、「自立支援」とは名ばかりで、実質的には「自己責任」「家族責任」を基本内容とするものであった。これにたいし、2008年10月、障害者みずからが原告となり、障害者の生きる権利を侵害するものとして全国でいっせいに違憲訴訟を起こした。政権交代後の2010年1月早々、国は自立支援法を廃止し、あらたな制度をつくることを「約束」して、原告・弁護団と基本合意を交わした。原告・弁護団は、この「約束」のもとに和解に応じ、訴訟を取り下げた。ハンディキャップをかかえた人たちが、みずから声を上げ、訴訟を提起し、運動を広げ、世論を大きくしていく活動がどんなにたいへんであったことか。当時の鳩山首相は、原告を招いて自立支援法が障害者の尊厳を大きく傷つけたと深く陳謝した。原告と全国の障害者、関係施設にたずさわる人びとがどんな喜び、期待をしたことだろう。しかし、「約束」は反故(ほご)にされた。喜びは怒りに変わり、期待は失望に転じた。為政者には、「生きさせろ!」という人間としての最低限の願いに耳を傾け、ハンディをもった人たちに思いをはせるということがなくなっているのか。そして、1国の首相が原告を前にして「約束」したことを、日を置かぬうちに反故(ほご)にしてしまうことについてためらいや自省はないのか。「約束をやぶる」ことは、政治に携わる者はもちろん、社会人としても、そして人の人格そのものとしても、信用性を失うことにほかならない。「約束を守る」ことは、人間としての基本的なマナーであり、社会のルールである。もはや……。<写真:今年も咲いた「菊桃」――猫の花見>(2012年4月19日、坂本茂)