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ブータン、スウェーデン、そしてベネズエラ

2012年12月17日

121218_kuroneko.jpg BSフジで「ミ・ラ・イ~小さな希望たちの讃歌」という番組(再放送)があった。子どもたちから見た「世界の今」を映し出すという制作意図によるドキュメンタリーで、国民のほとんどが幸せと感じている国・ブータンの子どもたち、持続可能な社会の実現ランキング第1位・スウェーデンにくらす子どもたちにつづいて、ベネズエラの「エル・システマ」の取組みが紹介された。

 「エル・システマ」は、貧困層の子どもたちにはびこる麻薬・暴力・犯罪にたいし、音楽の力をもって立ち向かおうという、ベネズエラの国家的プロジェクトだ。バイオリンやチェロなどの楽器は無償で提供され、レッスン料も無料である。過去30年間で100万人の子どもたちが「エル・システマ」に参加し、60以上の子どもオーケストラ、300のユース・オーケストラが設立されるにいたっているという。

快い音色を奏でるための基本・ルール、他者との協同による合奏、練習を重ねることの努力・忍耐、楽器をもってみずから表現できることの喜びなど――銃を楽器に持ち替えるなかで、子どもたちは人生に必要な一つひとつを学んでいく。子どもたちの音楽能力を伸ばすことのみに音楽教育の目的があるのではなく、子どもたちが音楽をつうじて「よりよく生きるための力」をつけていくことに大きな意味づけがある。貧困、閉塞、自暴自棄、人間の尊厳否定の数々、そんな現実のなかでも、いや、そうだからこそ、子どもたちは音楽をつうじて「自由」を追求し、豊かな人間讃歌を奏でる。ボリバル革命を構成する社会政策・青少年教育活動のひとつなのであろう。

2012年もあと何日かを残すのみ。来たる年を「人間連帯のあたらしい取組み」にチャレンジする年にしていきたい。<写真:ニューフェイスがやってきた>(20121217日、坂本茂)