「京都の生協」No.54 2004年11月発行 この号の目次・表紙

京都医療生協「平和のバスツアー」
〜舞鶴引揚記念館・浮島丸殉難追悼の碑・五郎ヶ岳を訪ねて〜

京都医療生協理事 あざみ祥子

 9月9日(木)、京都医療生協は「舞鶴引揚記念館・浮島丸殉難の碑・五郎ケ岳」を訪ねる「平和のバスツアー」を実施し、秋晴れのさわやかな天候のもと、38人が参加しました。
 往路では、お父様をシベリア抑留で亡くされた、「京都シベリア抑留死亡者遺族会」の会長・亀井励さんのお話を聞きました。
 遺族の会10周年のビデオ上映の中では、シベリア墓参の体験を綴った亀井さんの詩『シベリア鎮魂の歌―み魂に捧ぐ』の朗読がありましたが、遺族のその悲痛な叫びに、涙をぬぐう参加者も多数ありました。
 亀井さんはみずからの体験を元に絵本『シベリア抑留って?』を書かれており、小学校などで平和の語り部をされています。
「浮島丸殉難追悼の碑」前にて
(左)京都医療生協理事
あざみ祥子さん
(右) 平和友の会
楳田幸子さん
 今回のツアーでは、参加者全員にその絵本がプレゼントされました。

 舞鶴引揚記念館には抑留生活の様子を復元、遺品や当時の写真などが展示されています。抑留体験者の岩本益美さんが岸壁の母と息子さんのエピソードをまじえ、解説してくださいました。
 記念館横の小高い岬に登ると、引揚桟橋と引揚援護局跡が見渡せました。桟橋は意外なほど小さく、ここに帰国の一歩を踏み出した引揚者は、どんな思いであったのでしょうか。
 記念館を後に、海岸線を行くと、映画「エイジアン・ブルー」で紹介された「浮島丸殉難追悼の碑」があります。「ふりそでの少女像」を制作された余江勝彦さんの作品で、チョゴリ姿の女性と慟哭する男性の姿が見るものの胸を締めつけました。
 バスツアー参加者は、舞鶴の地を訪ね、あらためて平和の大切さをかみしめました。そして次世代へ、なにより平和を伝えたいと心から願いました。最後に参加者の声を抜粋で紹介します。
○この大戦で亡くなられた方がたの魂が今日の日本の現状や将来をはたして、喜んでおられるのか、あるいは悲しんでおられるのかわかりませんが、少なくともこの尊い犠牲をむだにすることのないように決意を新たにしました。 ○「舞鶴の 引揚館に戦後見つ 物溢れし世に 心のすさぶ」「シベリアの抑留兵の痩身よ 今の飽食深くいましむ」「秘められし 戦争の記憶遠ざかり 要塞の港 波静かなり」「五郎ヶ岳 望む入り江の青くして 麗しの景 永遠に鎮まれ」

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