「京都の生協」No.59 2006年4月発行 | ![]() |
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昨年4月より男女共学となった京都橘大学。それにともない生協も、それまでの京都橘女子学園生協あらため京都橘学園生協になりました。文化政策学部は、今年で創設6年目の「若い」学部で、山科の地域性や歴史・文化・特産物など、この地ならではの“資源”と街づくりをむすびつけるユニークな授業が人気を集めています。大学での教育・研究と生協活動が一体となった「学びと成長」の場がそこにありました。 京都府生協連の小林智子会長理事が、小暮宣雄理事長と東川絹子食堂部店長にお話をうかがいました。 |
![]() 小暮宣雄 理事長 毎日違うバンダナ姿がトレードマーク |
![]() 東川絹子 食堂部店長 |
![]() 小林智子会長 |
男女共学になって |
小林: | 京都橘大学は昨年から男女共学になりましたが、男子学生はどのくらいいるのですか。 |
小暮: | 初年度の男子学生は135人。全体で500人ちょっとだから、約4分の1ですね。学部でのバラツキはありますけど。 |
小林: | 学内の雰囲気は変わりましたか? |
小暮: | そうですね。男子が入ったことで、サッカークラブができ、野球も同好会ができたそうです。 |
東川: | 生協とのかかわりという点では、サッカーと野球の中心メンバーが生協の下宿斡旋のアルバイトをしています。生協委員をオリーブといいますが、男子学生のオリーブも熱心に活動していますよ。 |
理事長1年目 |
小林: | 小暮先生が理事長になられたのは昨年でしたね。 |
小暮: | はい、そうです。もともと、橘は文学部だけの大学でして、01年に文化政策学部ができ、さらに昨年、看護学部が新設されました。私は文化政策学部の教員なんですが、5年前に着任してからずっと生協の理事をしていました。昨年、前任の理事長が忙しくなって交代したいということで、私が理事長になりました。 |
小林: | 理事長になられて、いかがですか。 |
小暮: | 文化政策学部には文化政策学科と現代マネジメント学科がありますが、はじめのころは、文化政策学部には生協にかかわる学生がほとんどいませんでした。生協には、伝統的に文学部の学生がかかわるという状況でした。 |
小林: | それが、いまはどんなふうに……。 |
東川: | 文化政策学部の学生がずいぶん生協にかかわるようになってきました。昨年の府連総会で発表した「マンダリンカフェ」運営の取組みは、全員、現代マネジメント学科の学生によるものです。ここはメニューもふくめて、すべて学生たちで運営しています。ことし何人かの学生が卒業したので、現在は10人ぐらいでカェを運営していますが、新年度あらたに10人ぐらい入ってくる予定です。 |
授業で学んだことを試す場としての生協 |
小暮: | 現代マネジメント学科の学生にとって、カフェの取組みにかかわることは、授業で学んだことを現場で実践するということになるんですね。つまり「学び」と生協での活動は別々のものではなくて、授業で“経営が必要するもの”ということを教えますから、授業で学ぶことと、生協で「マンダリンカフェ」を運営するということが直結するのです。 |
東川: | ことし卒業した学生のうち3人から、「大学生活のなかで、いちばん感動したことはマンダリンカフェの取組みだった」との言葉がありました。「自分たちで考えて動ける、それがよかった」と。「清水焼のカップ?」「割れる」「もっていかれる」。「メニューをふやす?」「あの場所(厨房)ではムリ」。「夕食もやりたい?」「ムリ」……。最初から「ムリなのでできない」と片付けてしまうのではなくて、「でも、学生がやりたいっていうのだから、しゃあないな、やってみよう、やってみてから……」というプロセスを大事してきました。そして、やってみて、結果、いま年間130万円の赤字。このことを学生にきちんと報告する。状況を学生がちゃんと知ることが大事なんです。赤字でよいということではないんで、一定の線は引いていますが、そのような体験が学生生活のなかでできるということがとても価値のあることだと思っています。 |
小暮: | 学生にとってカフェで学ぶことは多い。大学としては地域の資源を生かすという理念ができていますし、清水焼の関係者とは以前からお付き合いがありました。「結婚式の引出物になぜ清水焼が使われなくなったか」なんて、学生の結婚観を知らないとわかりません。そんなところに、大学と地域と生協が協同できる具体的な課題があるんですね。 |
小林: | 府連の総会で学生の活動発表を聞くと、経験を積んだ地域生協の理事さんから「自分の活動原点を思い起こす」とよくいわれます。 |
生協が新入生歓迎会を主催 |
小林: | 入学式もまぢかですが、生協としてどんな取組みをしますか? |
東川: | 年ねん、大きくひろがっているのが、生協が企画する「新たちばなさん、いらっしゃい!」ですね。先輩が新入生をお世話して楽しい懇親会になっています。すべて学生が自分たちですすめるのですが、企画を具体化するにあたって、一般学生を対象にしてグループリーダーを募集するというのが京都橘学園生協の特徴です。 |
小林: | 大学でなく、生協がオリエンテーションをやっている? |
小暮: | そうです。「入学式に何着る?」というよびかけなど、大学側ではできませんから。大学が用意するのは授業のことが主になってしまいます。 |
小林: | ほんとうにすばらしいですね。また府連総会で元気な活動報告をお願いします。楽しみにしています。 |
![]() 食堂の見事なおひなさま飾りの横で。 ![]() 清水焼のコーヒーカップが話題のマンダリンカフェです |
![]() 研究室にあったチンドンの太鼓。毎年関西に住むアーティストと地域をつなぐ公開セミナーを開催しているそうで、「音の出るもの」がテーマだった04年に、チンドン「たちばな家」をお披露目した楽しいお話もうかがいました |
食堂には、息をのむような見事な手作りのお雛様が飾られていました。パート職員の小林安希子さん(円内)の作で、飾りはほかに、お正月、五月人形、祇園祭など季節ごとにあり、食堂を利用する学生たちをなごませています。 | ![]() |
京都橘学園生活協同組合 山科区大宅の山の上に位置するキャンパスで、学園生活をサポートする活動をすすめてきた。小規模大学の特性をいかして組合員と生協職員がいっしょになって「お店」「商品」づくりをすすめている。学生の「学びと成長」が重点テーマに。 |
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