「京都の生協」No.64 2008年1月発行 この号の目次・表紙

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同志社生活協同組合/大鉢 忠理事長をたずねて
同志社生協はことし、発祥110周年を迎えました

同志社生協は2007年設立50周年、2008年発祥110周年をむかえました。
今回は、同志社大学京田辺キャンパスに大鉢忠理事長をたずねました。
広大なキャンパスを散策・案内していただきながら、設立50周年記念企画のこと、夢・抱負などについてお話をうかがいました。三宅智巳専務理事にも同席いただきました。


大鉢 忠理事長

三宅智巳専務理事

小林智子会長理事


同志社生協の歴史・前史

小林: 同志社生協は、07年で設立50周年、08年で発祥110周年とお聞きしましたが、記念すべき年にインタビューできてうれしく思います。
大鉢:

ありがとうございます。生協法により法人格をえた同志社生協の設立は1957年11月です。この節目に近隣の京都地区の大学生協がどのように育ってきたかをまとめるべく、京都事業連合のご賛同をいただき、07年4月から同志社大学人文科学研究所に3年間の研究プロジェクト「京都地域の大学生協の総合的研究」をスタートさせています。かかわりのあった方がたがご健在のうちに「京都地域の大学生協史」としてまとめたいと考えています。

小林: 記録に残すことは、大切なことですね。
大鉢:

少し歴史をお話しますと、設立以前にも先輩方による生協活動はおこなわれております。

 まずは、新島襄校長時代に同志社英学校を卒業された方ですが、早稲田大学の教授で社会民衆党党首、さらに「学生野球の父」と称されておられる安部磯雄先生が同志社尋常中学部の教頭時代の1898年に学生有志とともに協同組合方式の学生消費組合を同志社ではじめられました。これがわが国における最初の「学生消費組合」といわれており、2008年に発祥110周年になります。その後をうけて大正時代に「同志社購買組合」が、そして社会的キリスト教運動推進のメンバーを中心に「同志社消費組合」と学生生活の支援が続きました。第2次世界大戦の終戦直後1951年には安部磯雄先生の実践を基底に嶋田啓一郎教授(初代全国大学生活協同組合連合会会長で19年間会長職)、駒井四郎厚生課長(後に総務部長)両氏を中心に「同志社大学協同組合」が組織されています。

 このような前史をふまえまして、生協法にもとづき1957年に嶋田啓一郎理事長、横関武専務理事体制で「同志社大学消費生活協同組合」創立総会が開催され、現在にいたっています。

小林: 京都生協は1964年に産声をあげたんですが、はじめのころは同志社生協の一室を借りて特販部として御用聞きをして商品をお届けしたそうです。43年たって組合員は45万人を数えますが、同志社生協なくして京都生協はなかったといえる関係なんです。

50周年記念企画

小林: ところで、50周年ということで、どんな記念の取り組みをなさったんですか。
三宅: 07年の総代会で、設立50年記念の取り組みとして「学校が活気づく企画の募集」企画を実施しました。学生から出てきたアイデアに「地域の方と同志社生協との交流企画」というのがあり、「京田辺まつり」で学校を地域の人にも開放しました。そこで地域から参加していた京都生協の組合員が、学生の説明を聞いて、乗り気になってくださり、翌日には献立やレシピが送られてきて、「やましろ弁当」が実現したのです。文化祭=11月19日創立祭=アダム祭(今出川キャンパスのイブ祭に対し、昨年命名された)で「やましろ弁当」はあっという間に売り切れました。
小林: 京田辺の京都生協の組合員さんたちから「すごく楽しかった」という声を聞いています(笑)。
三宅: ほかに50周年の記念事業として、同志社生協が事務局となり、NPO法人の産官学連携支援ネットワークと連携して、京丹波の地域の活性化につながるイベントをおこないました。12月上旬に、丹波ワインを使って「京丹波わいん大学in同志社キャンパス」として教職員を集めて寒梅館7階のレストラン・セカンドハウスウイルで開催しました。それとつながった構想で、同志社オリジナルのたとえば、丹波の黒豆ポタージュの開発や京丹波の物産店などもありました。また同志社生協50周年記念グッズも作りました。
小林: それはどんなものですか?
大鉢: 京都らしい伝統を生かしたものとして、西陣織でつくったアクセサリーケースと名刺ケースやロゴ入り腕時計を数量限定で販売していまして、一部新聞でも報道されて注目されました。
小林: それも学生さんからのアイデアだったんですか?
大鉢:
そうです。ちょっと高価なのでたくさん売れるというものではありませんが、宣伝にはなっています(笑)。

50周年グッズの西陣織のアクセサリーケース(左)と名詞ケース

キャンパス再編への対応

小林:

これからの生協としての課題は?

大鉢: 現在は1〜2回生がこの京田辺キャンパスで学び、工学部と文化情報学部の学生さんを除き3〜4回生は今出川キャンパスに通っています。ところが、2010年に今出川にある同志社中学校が岩倉に移転しますので、その跡地を整備して、2013年から今出川キャンパスは人文系と社会科系キャンパスとして、京田辺キャンパスは文化情報、理工学部に加えて、新しく設置される、生命医科学、スポーツ健康、心理学部の理工系キャンパスとしてキャンパス再編がおこなわれます。それにあわせて生協の対応がもとめられています。
小林:

生協も一定の投資をともなうでしょうから、たいへんですね。

大鉢: 学内には生協以外にレストランや喫茶店など他の業者さんも入っています。食の好みは人それぞれですから、食堂部門すべて生協が対応すべきとは思いません。ただ、大学は日曜日が休みで、春・夏・冬には長期の休みがありますので、われわれや一般業者の方には営業時間の点で苦しい状況と思います。大学、生協、業者のお互いが共存共栄できるためには、休みの日でも学内にたくさんの人が集まるような工夫が求められていると思っています。
小林: そうですね。これだけの施設を学生のためだけではなく、地域に開放して地域といっしょにいろいろ取り組めたらいいですね。

今後の夢・抱負は

小林:

生協がどのような役割をはたしていくのか大きな課題だと思うのですが、夢や抱負などをお聞かせください。

大鉢: 学生にとって、大学が自分の生活の場になればいいと考えています。授業に来るだけでなく、クラブをやり、友だちをつくる。図書館、研究実験等の勉学の環境もよく、食事もおいしい。そうすれば学校に来るのが楽しくなるでしょう。食堂のメニューもアメリカの全寮制カレッジのように「バイキング方式」にするのもいいかなと思うのですが…。
小林:

食べ放題ですか?

三宅: それは経営的に可能でしょうかね(笑)。
大鉢: 最初はたいへんな状況になるかもしれませんが、学生諸君が慣れてくるとバランスが取れないでしょうかね。自分の体の健康を考えて、選んで適量を食べるようになることができればいいのですがね。そのサポートを生協がする。とくに大学生、中高生は体をつくる重要な時期ですから、生協がお手伝いできることが大切です。そのためには、大学・学校、保護者とのよい関係づくりが必要になると思います。
三宅: スポーツクラブの学生たちから要望のあったアスリート食を、次年度から大学の食堂ではじめることにしました。体育系のスポーツ健康科学部もできる予定ですし、大学も変わっていきますので、生協も大学の期待に精一杯こたえていきたいと考えています。
小林: 今後ますますのご活躍を楽しみにしています。本日はキャンパスの中もご案内いただき、ありがとうございました。





同志社生活協同組合

代 表 者/理事長:大鉢 忠 専務理事:三宅 智巳
所 在 地/京都市上京区烏丸通今出川上る玄武町601
TEL/075-251-4430
  0774-65-8371(京田辺校地)
事業高/444,697(万円)
組合員数/34,335人
設立年月日/1957年11月18日

ホームページ
http://www.doshisha-coop.com

戦前の同志社消費組合の伝統をふまえ、1957年に同志社大学消費生活協同組合として創立され、58年に法人化。97年には同志社女子大学などの事業も増えてきたのをうけ同志社生活協同組合と改称。今出川、京田辺の二拠点で活動している。

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