「京都の生協」No.80 2013年4月発行 今号の目次

京都経済短期大学生協 小路真木子理事長・下村泰彦専務理事を訪ねて
全国でもっとも小さな生協 ~コミュニティの中心を担って!~

 京都には11の大学生協があります。それぞれのキャンパスで組合員である学生・教職員に食事や書籍・日用品・旅行サービスなどを提供し、大学生活に欠くことのできない役割を担っています。
 今回はそのなかでも、もっとも規模が小さな京都経済短期大学生協を訪問して、お話をうかがいました。



京都経済短期大学生協・
下村泰彦専務理事

京都経済短期大学生協・
小路真木子理事長

横山 大学の概要や学生の特徴などをお聞かせください。

下村 もともとは京都明徳高等学校(旧・明徳商業高校)が、商業科の生徒の進路先を広げようということでできた短期大学です。経済情報学科という単科のみで、1学年が150人です。
 1993年に開学しましたので、ちょうど今年で20年になります。
 短大ですが、最初から男女共学で、また定員の20%、30人を外国人留学生ワクとすることが文科省の設置認可の条件でしたので、留学生もいます。短大卒業後に4年制大学へ編入する学生も30%前後あります。
 開学時は福利厚生施設も小さな売店がひとつと自販機が並んでいただけでした。キャンパス周辺には飲食施設が皆無でしたので、早くから食堂設置の要望がありました。同じ法人である明徳高校、成章高校に入っていた食堂業者さんと生協とどちらを採用するか、検討されました。
 当時、特任教授だった柏尾昌也先生が大学生協大阪事業連合理事長をされていたこともあり、立命館生協の支援をうけて1996年に生協を設立しました。

横山 京都経済短期大学の学生の気質はどんなものでしょうか。

小路 全体として明るくて人なつっこいですね。もともと人数も少ないので、教員と学生のあいだも親密です。途中で授業に出席しなくなる学生がいると、どうしているのかと、教員のほうから電話をかけたりすることもあります。授業とは関係なく研究室に遊びに来る学生もいますね。


  きびしい大学経営、生協経営

横山 先生が理事長になられた経過や理事会の様子などをお聞かせください。

小路 いまから6年ほど前に理事になりました。翌年には当時の理事長が退職されるということなので、教員理事の私に話が来て、何もわからないまま理事長を引き受けることになりました(笑)。
 理事会では、ここ2~3年は経営問題を中心に議論してきました。大学、学園本部とも、生協の経営の現状をずいぶん話し合いました。学校経営もきびしいなかで、2012年度から生協に補助をいただけるようになりました。

下村 生協ができた当時は入学者にノートパソコンを購入していただいたり、先生から教科書を指定いただいたり、ということも多くありましたが、その後、パソコンの普及や教科書の採用が減少し、学生も本を買わなくなって、教材関係の利用が落ちています。
 そのなかで、生協の収入構造が大きく変わり、かつて5000万円規模だった供給高が、いまは2000万円台になっています。


  小規模生協としての工夫

京都府生協連・
横山治生専務理事

横山 下村さんは生協設立時から専務をされていますね。

下村 生協設立当初は、大学として福利厚生を充実させるという考えから、理事長は学生部長が担当し、専務理事は生協の規模が小さいので専任配置できず、非常勤で学生課長が担当しようということになり、私が担当してきました。その後、大学の組織機構は変更になりましたが、私のほうはバトンタッチしそこねてずっとやっています(笑)。

横山 いま全国でも一番か二番目に小さな規模の大学生協だと思いますが、運営上の工夫や努力されていることをお聞かせください。

小路 学生数が少ないので経営はきびしいです。学校の側からもかなり意識的に生協を利用するように努力していただいています。生協では食堂でメニューを工夫したり、職員が個々人にあわせて手作りするなど、がんばってもらっています。

下村 学生たちは、入学して生協の様子がよくわからないまま5月の総会で理事になったり、総会後2カ月すると2年生は就職活動でいなくなったり、1年生も後期から進路準備に入ったりということで、生協の活動経験が引きつがれていかないという悩みがあります。
 毎年、最初からリセットしているようなところがあります。そうすると学生が考える前に教職員や生協職員が動いてやってしまうということがあるので、学生自身の行動に広がっていきにくいところがあります。

小路 学生たちは、クラブ活動のような感覚で理事になって活動しています。理事会の議論はむずかしいのではないかと思いますが、経営情報学科なので経営の勉強につながればと思っています。



  生協職員の苦労

横山 職場では、どのようなご苦労がありますか。

田中 職員も少人数なので、パソコン・食品・書籍など分類ごとの担当者がいないのですが、それでも職員みんなでパソコンや教科書を販売したりしています。お菓子や文具も数は少ないですが、取り扱う必要があります。賞味期限や商品在庫の管理もあって、たくさんの種類を置きたいのですが、置けないのが大きな悩みです。
 食堂事業では、工夫してメニューをつくっています。少人数なので毎日食べる方はほぼ決まっているので、ランチ2種類と和定食をつくり、定番のとんかつ、ササミチーズフライや唐揚げ、麺と丼をつくります。ほかに小鉢10種、デザート5種類など、多品種少量の作業をおこなっており、たいへんです。
 職員も通常6人で、食堂での売残りロスを出さないように、そして残業もしないようにしています。



  京都経済短期大学生協の強み

京都経済短期大学生協・
田中貞子店長

横山 自慢できることや強みはなんでしょうか。

田中 学校と学生と生協が一体だということですね。みんなで作っているという感じがあります。
 学校のほうからも生協が努力していることが見えますし、私たちも学校の苦労もわかります。学生も学校も生協もなかよしです。
 学生との会話やいろんな相談もあるということが、大きな学校ではできないところでしょうか。

横山 具体的には……。

田中 顔色が悪い子がいたらどうしたのと声かけしますし、悪いことしていたら叱りますし、それが普通の会話になっています。

小路 これほど、生協職員のみなさんが学生となかよくして、声かけしてくれているのはすごいことだと思います。

下村 授業には出席しないが生協には顔を出していたりもするので、大学職員も生協に顔を見ない学生の様子を聞きに行くこともあります。

横山 生協が学校のなかのコミュニティの中心になっているようですね。

田中 卒業式の謝恩会や、学園祭にも生協職員が参加し、卒業アルバムにも生協職員が入っています。



  大学・学生の変化への対応

横山 これからの抱負などをお聞かせください。

田中 同じ大学生協でも大きな生協だから大きなサービスがうけられて、規模が小さいからできないというのは、学生にとっては関係がないことだと思います。
 もっと私たちにもできることがあると思うので、規模の大きな生協や事業連合からも支援をお願いしたいですね。

下村 大学や学生のライフスタイルが変わってきているなかで、生協の運営をどのように変えていくのか、うまくかみ合うようにすすめていきたいですね。

小路 幸い、学園のほうも生協が必要であると認めてくれているので、この体制でやれることは限られていますが、やれることはやっていきたいという気持ちでおります。

横山 今日はお忙しいところ、ありがとうございました。


京都経済短期大学生活協同組合
代表者 理事長:小路真木子
専務理事:下村 泰彦
所在地 京都市西京区大枝東長町3-1
TEL.075-331-3348
事業高 2,852万円
組合員数 417人
設立年月日 1996年1月18日
ホームページ http://kyoto-econ.u-coop.net/