「京都の生協」No.82 2014年1月発行 今号の目次

京都生協 渡邉明子理事長・畑忠男専務理事を訪ねて
創立50周年をむかえて、組合員のくらしへのお役立ちをさらに

 1964年、初代理事長・能勢克男の「頼もしき隣人たらん」との呼びかけから洛北生協が誕生しました。74年に京都生協と改称し、78年には洛南生協と、2000年にはあみの生協と組織合同。組合員の願いにこたえ、くらしを支える活動をすすめています。今回は、京都生協を訪問しました。
(聞き手:京都府生協連専務理事・横山治生)



京都生協・
畑忠男専務理事

京都生協・
渡邉明子理事長

横山 京都生協の組織と事業の概要について、ご紹介をお願いします。

渡邉 組合員数は約50万2000人、世帯加入率でみますと43.5%になっています。行政区によっては、加入率が5割をこえる地域もあります。

  事業高は2012年度実績で695億円、事業の柱は商品の宅配事業、店舗事業、くらしサポート事業の3つがあります。くらしサポート事業というのは、共済事業、福祉事業(通所介護、訪問介護、居宅介護支援等)、葬祭事業(仏具販売、葬儀の斡旋)です。

横山 渡邉理事長の京都生協との出会いや今日までのかかわりなどを教えていただけますか。

渡邉 30年ほど前に兵庫県から大山崎町に引越してきました。同じマンションで共同購入していた班の方から生協のお誘いがあり、加入しました。翌々年には(当番制で)地域運営委員になり、その後はブロック代表委員や総代に、また支部の早朝出荷の手伝いや店舗の農産担当など、生協とはさまざまなかかわりをしてきました。

横山 畑専務はいかがですか。

  大学時代は教育学部に在籍して教員を志望していました。教員採用試験に合格できず、あきらめました。実家が京都府にあり、学生時代に大学生協の設立運動をしていたこともありましたので、京都生協に就職しました。


  現在のチャレンジ課題は……

横山 組合員のくらしや地域も大きく変化しています。京都生協がチャレンジされていることを紹介いただけますか。

渡邉 高齢化や過疎化、単身者世帯の増加などがすすみ、夕食宅配や単身者のお弁当利用も目立ってきています。地域の食料品店や銀行のキャッシュコーナーなどの撤退がつづくなかで、住民の方や行政からは週1回、商品を配達している生協への期待は大きくなっています。自治体や社会福祉協議会と締結した高齢者の「見守り協定」は府内11の地域に広がっています。

  事業面では、宅配商品の注文書に過去1年間に利用した商品やお買い得商品がわかるように色づけしたり、注文専用のタブレット端末を使って注文をしていただけるサービスを準備しています。

横山 宅配事業のIT化がすすんでいるんですね。ほかに新規の取組みなどありましたら、ご紹介ください。


  (株)ハートコープきょうと

 障がい者雇用を促進するために(株)ハートコープきょうとの事業を2013年7月にスタートさせました。現在、5人の障がいのある方を採用して、宅配事業で使用しているおりたたみコンテナの洗浄作業をおこなっています。作業開始にむけて京都障害者職業センターの雇用実習を受けてもらい、入社式の日には保護者や支援学校、支援団体の方にもお披露目をかねて作業をみていただきました。1日の洗浄数も目標を上回る作業をこなせるようになりました。

渡邉 メンバー社員はそれぞれに個性があります。仕事はテキパキとはいかなくても、明るい性格で職場をなごましてくれる人がいたり、5人が仲間意識をもって助け合っている様子を聞くと、すばらしいなと感じます。理事メンバーも見学に行き、感激していました。


  再生可能エネルギーの活用

横山 環境問題の取組みとして再生可能エネルギーの拡大にも取り組んでいるとうかがっています。

渡邉 今は1カ所ですが、生協の支部の屋根に太陽光発電設備を設置しています。また現在、一般社団法人「市民エネルギー京都」と連携して生協の2店舗の屋根に市民から資金を募って太陽光発電設備を設置する取組みをすすめているところです。この事業は京都府がすすめる府民力活用プチ・ソーラー発電支援事業の第1号の取組みとなり、助成金もいただけることになっています。

横山 市民参加で発電設備設置というのはすばらしいと思います。これからが楽しみですね。ほかに京都生協といえば生産者と協力した産直商品が強みというイメージがあります。


  より多くの組合員に利用いただける商品をつくる

 産直商品や地産地消は強めたい分野ですが、お互いが支え合うということで、生産者や消費者がガマンしながらつき合う関係ではいけないと思っています。
「商品がおいしくない」とか「傷んでいる」とかの声があれば、生協は消費者の組織として対応しなければいけないし、生産者も利益がなければ長いおつき合いはムリです。

今は組合員のなかにさまざまな価値観が広がっています。地元でとれた野菜よりも、他の府県でとれた価格の安い野菜を利用する組合員も多くいます。生協ブランドを大事にしつつも、より多くの組合員が利用できる商品をつくるという、そのバランスも大事になっています。

渡邉 組合員のくらしもさまざまで、遠くてもこだわりの商品を買いに行くという現象もあります。
みんなが中流意識をもち、産直や環境や安心・安全をもとめることがステイタスであった時代は終わり、それらが当たり前になった段階では、生協はさらにあらたな課題にチャレンジすることがもとめられています。高齢者だけでなく、単身者や生協を利用されていない世代層にたいしてもアプローチが大事かと感じています。


  多様な価値観への対応

横山 世代別対策としての努力や工夫されていることについては……。

 宅配事業では組合員の世代別に商品案内の内容を変えることにチャレンジしています。ワン・トゥー・ワンとまではいかないけれど、世代別にセグメントした対応ということで実験中です。

渡邉 若い組合員は産直商品というより、商品の倫理性とか環境とか、社会に貢献できていることに価値を感じる方も多いようです。たとえば耕作放棄地を有効活用してできた「さくらこめたまご」とか、フード・マイレージやフェア・トレードとかについては支持や共感をえやすいようです。

横山 京都生協は全国のなかでも歴史と伝統のある生協ですが、2014年には創立50周年をむかえるとおうかがいしました。創立50周年をどのようにむかえようとされていますか。


  創立50周年記念の取組み

 50周年記念の認知度を高めようということで3種類のロゴ案を組合員投票で決めるほか、キャッチコピーやメッセージを募集しました。 たくさんの組合員さんに応募いただきました。
そのほかに50周年記念セールや組合員大学習会の開催などを検討しています。
2014年は消費税が増税される年でもあり、事業上ではマイナス要因もありますが、組合員に参加実感をもってもらいながら事業を強くし、未来にむけた展望をつくりだせるような節目の年にしたいと思っています。

渡邉 過去においては大きな記念行事がおこなわれたようですが、生協は組合員と職員がつくってきたということを大事にしたいなと、私は思っています。
昨年、消費者教育推進法ができて、消費者の自立とか消費者市民社会ということがアピールされる時代になってきました。
「受け身でなく、みずからの意思で消費者行動を決めていこう」という内容が、京都生協(当時は洛北生協)の設立趣旨に盛り込まれており、このことを大切にして50年間やってきました。京都生協の原点はそこにあることをおさえながら、職員にも感謝したいと思っています。

横山 今日はお忙しいところ、ありがとうございました。


京都生活協同組合
代表者 理事長:渡邉明子
専務理事:畑忠男
所在地 京都市南区吉祥院石原上川原町1-2
TEL.075-672-6304
事業高 695億1,800万円
組合員数 50万2,139人
設立年月日 1964年11月27日
ホームページ http://www.kyoto.coop/