「京都の生協」No.95 2018年4月発行 今号の目次

京都府庁生活協同組合
~古田啓子理事長に聞く~

20会員生協の中で唯一の職域生協である京都府庁生協(以下、府庁生協)。今回は府庁生協・古田啓子理事長と、本多浩専務理事を訪ね、お話を伺いました。古田啓子理事長は2013年から京都生協の理事にも就任されています。
(聞き手:京都府生活協同組合連合会専務理事・高取 淳)


古田啓子理事長(左)と本多浩専務理事

高取 府庁生協の理事長になられて何年になりますか?

古田 2013年の総代会で理事長に就任しましたので約5年になります。

高取 それまでの府庁生協との関わりや、理事長に就任されたきっかけをお聞かせください。

古田 府庁生協ができたのは1972年1月で、私はその年の4月に京都府の職員になりました。府庁生協の歩みとともに社会人としてスタートしました。当時完成したばかりの新館(現在の2号館)の6階のガラス張りで見晴らしの良い府庁生協の大食堂とかグリルで、職場の仲間や採用同期の仲間とにぎやかに昼食の時間を過ごしていたのが懐かしい思い出です。その後、1992年7月に京都府職員福利厚生センターが完成して、府庁生協は福利厚生センターに食堂と購買が移転し、翌年4月に本部などが今の場所に移転しました。府庁生協第2期のスタートです。その時期に私は京都府職員の福利厚生を担当する職員課長として府庁生協に関わってきました。

高取 生協を担当されていたのですね。

古田 そうです。食堂は京都府が府庁生協に運営を委託しているので、食堂の中身を府庁生協と調整したり、移転計画などで関わってきました。 理事長に就任したきっかけは前任の理事長が任期途中で病気のため辞任され、職員課長として府庁生協に関わりのあった私に理事長就任の打診があり、自分の経験や知識が少しでもお役に立てるのであればと思い、引き受けました。

高取 生協の活動にかかわってこられたこともあり、生協についてはよくご存知だったのですね。

古田 そうですね。現在でも京都府の生協担当の職員に理事会の構成メンバーに就任してもらっており、京都府とも相談や連携を図りながら事業を進めています。

  職域生協の役割

高取 府庁生協の概要や役割、おもな事業内容をお聞かせください。

古田 地域生協と異なり、対象が府庁で働く京都府の職員に限定されていることが特徴です。府庁生協は京都府から福利厚生の一翼を担うと認められています。 府庁生協のめざすことは、これまで「あって良かったと言われる府庁生協をめざして」でしたが、くわえて「生協はあなたの暮らしのサポーター」をスローガンにしました。「平和で豊かな暮らしを実現するために」ということを掲げて活動しています。

組合員数は昨年12月末で9,485人です。
事業は、福利厚生センターの中に大食堂と購買の店舗があり、別館に旅行部と、公務員賠償保険やがん保険などの受付カウンターがあります。また、オンラインショッピングとして、ホームページから書籍を5%引きで購入できますし、家電製品を量販店と提携して安く購入できます。社販マーケットと言って、飲料を大量に消費する人向けの飲料購入もできます。ほかにも京都市内職場にお弁当を配達したり、京都生協と連携して共同購入もしています。

高取 昨年11月に「組合員・利用実態アンケート」を実施されましたが、結果はどうでしたか。

古田 今回のアンケートは、昼食をどうしているのか、購買の利用はどうしているかという内容に絞って実施しました。生協委員さんを介して2,000枚を配布して672枚回収しました。アンケート結果ですが、昼食は府庁生協の食堂やテイクアウト、配達弁当をあわせて40%が利用していて、お弁当の持参が35%でした。お弁当の持参が増加傾向にあります。食堂利用についての評価は、価格や量、味付けについては「普通」の評価が多かったです。府庁生協は食材を大学生協の事業連合から仕入れています。メニューについては増やしてほしいという意見が多かったです。

高取 購買の利用についてはいかがですか?

古田 週1回利用が35%、週2~3回が28・5%です。食堂は12時~13時の1時間。購買もお昼休みの1時間と退庁後から18時閉店までの勤務時間外に利用が集中するため、なかなか利用が増えません。

高取 利用いただく時間は限られているということですね。

古田 地下の食堂は12時になると入口から一階の階段入口まで行列になります。それを避けて12時半ごろに来ると、今度は定食メニューが無くなっていて、選べるメニューが限られます。 12時半に来てもメニューが選べるように、ある程度の品ぞろえや割引などをやってみようかと考えています。購買の営業時間の延長は、人件費や過去に施行した際の廃棄率の関係で難しいですが、残業用の食料品の自動販売機の導入を現在検討しています。

本多 カップ麺やロングライフのパン、お菓子などを想定して検討しています。

古田 災害用備蓄食料としての利用も見込んでいます。

  毎日がチャレンジ

高取 事業・経営の改善にむけた特徴的な取組みについて、お聞かせください。

古田 3年連続赤字でしたので不採算部門を取りやめるということと、エコの視点から、広報誌「くらしコープ」を印刷して配布することは止め、府庁内職員専用の情報通信網であるイントラネットの掲示板に載せてもらっています。府庁生協のホームページにも載せています。

それから、職場訪問チームという本庁以外に勤務する方に生協の商品を届けたり宣伝したりする部門を廃止しました。その代わり、ホームページから本の購入や、家電、飲料の購入、旅行相談フォームの設置による申込みなど、利用機会の拡大を図り、生協の事業を知ってもらい利用してもらえるように改善しました。

本多 ホームページは私が直接メンテナンスして更新しています。

古田 組合員にとってメリットのある提案を取り入れたり、他の府県庁生協で取り扱っていて良いものは積極的に取り組んでいこうと思っています。

  「あってよかった」と言われる生協へ

高取 これからの府庁生協の課題やビジョンをお聞かせください。

古田 3年連続赤字のあと、昨年は黒字に転換しました。人件費の削減等でできたことで、供給高が増えた黒字ではありませんでした。今年度については厳しくなる見通しです。コンスタントに黒字経営をしていくためには供給高の回復が必要だと考えています。
食堂の12時半以降の利用の拡大のための試行とか、閉店後の購買利用のための食料品自販機の設置とか、組合員の声に耳を傾けて、組合員のための事業を工夫してコツコツと実現し、「生協があってよかった」と言われるように生協委員さんと力を合わせ取り組んでいきたいと思います。

高取 生協委員さんとは?

古田 生協の世話役として各職場におられ、回覧や注文書を回してもらったりして、組合員と理事会とのパイプ役を担ってもらっています。生協委員会議も秋に一回、開催しています。生協委員さんを通して届けられた組合員さんの声を受け止め、可能な限り事業に反映していきたいと思っています。

本多 京都府で働く職員は本庁だけではなく、北は丹後から南は山城までたいへん広く、地方機関には店舗がありませんから、利用が難しいとの声が出ます。そこの組合員にどのように対応していくのか、課題があります。
また、全国の府県庁の22ヶ所に職域生協がありますが、母体、つまり府県庁との関係を上手く調整しながらすすめるということが必要です。経営の面でもどこの府県庁の生協も厳しい状況にありますのでその点も大きな課題ではあります。

高取 本日はお忙しい中をありがとうございました。

京都府立医科大学・府立大学生活協同組合
代表者 理事長:古田 啓子
専務理事:本多 浩
所在地 京都市上京区下立売新町西入る 京都府庁内
TEL.075-441-7657
事業高 5億9,688万円
設立年月日 1972年1月25日
ホームページ http://fucho.u-coop.net/