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「社会災害」としての熱中症死亡

2010年08月26日

100825_himawari.jpg8月23日は、「処暑」(しょしょ)だった。「処」には、「落ち着く」「とどまる」の意があり、この頃には夏の暑さもおさまって、しだいに秋めいてくるというが、とてもとても……。きびしい暑さがつづいている。次の節気は「白露」で9月8日だがピンとは来ず、「秋暑」という言葉がピッタリしそうな気配だ。「暑さ」を辞書で引いてみると、「大書」からはじまって、「猛暑」「激暑」「甚暑」「酷暑」「極暑」などなど、出てくるわ出てくるわ。気象庁は、2007年から「1日の最高気温が35℃以上になる日」を「猛暑日」と定義づけた。「猛暑」が、れっきとした気象用語として規定されたわけである。この夏、熱中症による死者は全国で少なくとも307人以上にのぼっているという(NHKニュース、8月20日)。このうち東京都区内での死亡者は118人を数える。都監察医病院による死因調査からは「高齢者」「一人暮らし」「室内で死亡」「エアコンがない」「あっても使っていない」などの要因が浮かび上がってくる。その土台にあるのは、まさしく「貧困」にほかならない。「自然災害」でなく、「社会災害」というべきなのである。「暑さ対策」は、注意喚起や小手先にとどまってはならない。<写真:与謝野町・向日葵畑>(2010年8月26日、坂本茂)