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進め!ひょっこりひょうたん島

2011年06月08日

110606_hyoutannjima.jpg  宮城・岩手の両県生協および日本生協連の方がたのお世話により、三陸沿岸部をご案内いただいた。発災以来3カ月がたとうとしているが、現地の状況を眼のあたりにして言葉は失われてしまう。大槌町役場は全館破壊され、正面の時計はその日から止まったまま。津波が来る前は、毎日正午に防災無線をつうじて町内全域に「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングが流れていたという。
 というのも、井上ひさし・山元護久共作によるNHKこども教育番組「ひょっこりひょうたん島」のモデルといわわれる島が大槌町にあるからで、井上ひさしの代表作のひとつ『吉里吉里人』も同町内に地名があり、井上自身も隣町の国立釜石診療所に勤めていた。
「ひょっこりひょうたん島」は、1964年から5年間、つづいた長寿番組だった。番組に登場する大人は他人のいうことには耳をかさない身勝手な人間ばかりで、民主主義精神あふれる子どもたちが集団的な議論をつうじて次つぎと起こってくる難問を解決していく。この国の政治と復興計画をめぐる状況は、47年前に提起された構図・テーマが今なお生きていることを物語る。
「苦しいこともあるだろさ、悲しいこともあるだろさ
    
だけど僕らはくじけない、泣くのはいやだ、笑っちゃおう
    
進め!ひょっこりひょうたん島」
  ひょうたん島は写真にあるように津波にたえて残った。一日も早く、大槌町に「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングが流れることを祈る。<写真:ひょうたん島=蓬莱島>(2011年6月8日、坂本茂)