僕らはくじけない!

2011年08月20日

110819_ootuchichou.JPG 6月8日のこの欄で、岩手県大槌町では津波が来る前の毎日正午に防災無線をつうじて町内全域に「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングが流れていたことを紹介した。それは、井上ひさし・山元護久共作によるNHKこども教育番組「ひょっこりひょうたん島」のモデルといわれる島が大槌町にあるからであり、また井上ひさしが隣町の国立釜石診療所に勤めていたこともあるからであった。当生が大槌町を訪れたさい、ガレキの向こうに津波にたえて残った「ひょうたん島」=蓬莱島を確認し、写真におさめて、この欄に掲載した。
このほど、大槌町では津波で破壊された放送機器の整備が終わり、ふたたび「ひょっこりひょうたん島」のテーマソングが町内に流れた。町役場にあった元の音源は流出してしまったため、井上ひさし氏と交流のあったジャズピアニストの小曽根真さんがあらたに曲をアレンジして提供したという。
6月8日のこの欄では、「ひょっこりひょうたん島」に「登場する大人は他人のいうことには耳をかさない身勝手な人間ばかりで、民主主義精神あふれる子どもたちが集団的な議論をつうじて次つぎと起こってくる難問を解決していく。この国の政治と復興計画をめぐる状況は、47年前に提起された構図・テーマが今なお解決されていないことを物語る」とのべたが、その後の経過は少しも変わってはいないように見える。「だけど僕らはくじけない!」――福島もそうだ。大きな力のある者に屈してはならない。「憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と憲法12条はうたっている。<写真:大槌町>(2011年8月19日、坂本茂)