読書のすすめ
2015年02月16日
「こわい話」日本文学の名作短編をあつめた一冊です。
「中学生までに読んでおきたい日本文学」としていますが、小学生には少し難解なのではと、
読んでみた後の私(いちおう大人)の感想です。
もともとは小学6年の娘のために私の父が買ってきたものですが、なんとなく手に取ってみ
たらこれがなかなかの内容で、一気に読んでしまいました。
夏目漱石や太宰治はじめ、日本文学の作家たちのちょっとこわい短編がはいった一冊で、
大人になってから遠ざかっていた作家たちの文章に久しぶりにふれて、新鮮だったのと、
やはりいいなあと改めて思ったので、ご紹介させていただきます。
装丁もきれいで、大事に持っておきたい一冊となりました。
人間の誰のなかにもある怖さ、残酷さが垣間見え、だれにも思い当たる一片があったり、
読み終えてすこし、背筋がぞっとすると思います。
ネット社会の中でいじめなど人の心の闇ばかりクローズアップされる昨今ですが、
環境や背景が変わっただけで、ひとの営みは昔も今もさほど変わらないんだなと、
少しだけ安心しました。<O.T>
こわい話 松田哲夫編 あすなろ書房
【収録作品】
萩原朔太郎 蛙の死
夏目漱石 夢十夜
内田百閒 豹/鯉
江戸川乱歩 白昼夢
半村良 箪笥
岡本綺堂 利根の渡
中島敦 牛人
菊池寛 三浦右衛門の最後
坂口安吾 桜の森の満開の下
夢野久作 瓶詰地獄
星新一 鏡
山川方夫 お守り
志賀直哉 剃刀
島尾敏雄 鉄路に近く
太宰治 トカトントン